オランダ語の文法を、英語とドイツ語の文法と比較しながらまとめてみました。
オランダ語、英語、ドイツ語は同じ西ゲルマン語に属するので多くの共通点があり、英語とドイツ語から文法や単語を類推することで学習効率が良くなります。
オランダ語に比べて英語やドイツ語に触れたことがあるという方は多いと思いますので参考になると思います!
今回は「名詞の性」について簡単にまとめてみました。
「名詞の性」とは
「名詞の性」という話は英語しか触れたことのない人にとっては初耳であるかもしれません。
なぜなら、英語には名詞の性というものは存在しないからです。
しかし、ヨーロッパ地域の言語を中心に名詞に性があることは珍しいことではありません。
ドイツ語やオランダ語などのゲルマン諸語、フランス語やイタリア語などのロマンス諸語、ロシア語やポーランド語などのスラブ諸語等多くに名詞の性が見られます。
さらに言えば、昔の言語では当たり前のように名詞の性がありました。多くの言語に影響を与えたラテン語や、もちろん古き英語にも。
さて「名詞の性」とはどんなものかというと、ドイツ語を例に出して説明してみます。
ドイツ語には「男性名詞」「女性名詞」「中性名詞」という名詞の性の区分が存在します。
例えば、Vater(= father 英)は男性名詞、Mutter(= mother 英)は女性名詞です。
これは非常に明快だと思います。生物学的に男性か女性であるかで判断できるものです。
人の概念の中でおおよそ男女の概念が分かれているものはその通りに名詞も性をもちます。
では、Kind(= child 英)はどうでしょうか?
実はヒトを指す単語であるにもかかわらずこれは中性名詞となります。
他にも、Film(= film 英), Zeitung(= newspaper 英), Buch(= book 英)はどうでしょうか?
Filmは男性名詞、Zeitungは女性名詞、Buchは中性名詞となります。情報を伝える媒体というところは一致していますが名詞の性はバラバラです。
つまり、男らしさ女らしさというものは一切なく昔の人たちが作り上げてきた「この名詞はこの性」というルールに従わなければいけないのです!(なんとなく理不尽かつ非合理的!)
「本という単語がなぜ中性名詞にくくられるんだ!」といくら問いただしても仕方ないのです・・・
諦め。
ここで深く突っ込むことはしませんが、他の言語では「本」という単語が中性名詞であるとは限りません。
実際、イタリア語では「本」という単語は男性名詞です。ややこしい!
ただ、例えばゲルマン諸語ならその中グループ内で名詞の性に統一性があったりします。(救い)
「名詞に性が存在する意味があるのか?」「めんどくさいだけでは?」という声が聞こえてきそうですが残念ながら無視して進むことはできません・・・
名詞の性をマスターしておかないと冠詞や形容詞、関係代名詞などでにっちもさっちもいかなくなります。
文法上の性というだけあって語学での付き合いは長いですよ~
頑張りましょう!
オランダ語の名詞の性
前置きが長くなってしまいましたがここからオランダ語の名詞の性について説明したいと思います。
オランダ語の性はドイツ語と異なり、「通性名詞(両性名詞)」と「中性名詞」の二つです。
中性名詞はドイツ語のそれとほとんど同じものです。
boek(オランダ語で「本」)も Buch(ドイツ語で「本」)も中性名詞です。
それでは通性名詞とは何かというと、男性名詞+女性名詞→通性名詞です。
これはオランダ語の歴史的に男性名詞と女性名詞が統合されて一つになったものなのです。
その意味では、両性名詞と言った方が分かりやすいかもしれませんね!
ドイツ語に比べて覚えなければいけない性が一つ減ったので、ドイツ語を経由してきた人にとっては嬉しいことかもしれません!
実はゲルマン諸語ではオランダ語のように男性名詞と女性名詞が最近までに統合されて簡略化してきたということが珍しくありません。ドイツ語やアイスランド語のように三つの性が残っているというのはそちらかと言えばマイナーで古い言語の特性を残しているとも言えます。(これはこれでおもしろいことなのですが・・・)
ちなみに英語はきれいさっぱり名詞の性を遥か昔(?)に置いてきてしまいました。
さすが世界の英語
オランダ語の話に戻ると、通性名詞は別の名を「de名詞」、中性名詞は「het名詞」と言います。
これは名詞の前につける定冠詞からきている名前です。これは別の機会にまとめたいと思います。
オランダ語もドイツ語に比べれば名詞の性が簡略化されているとは言え、名詞の性は必ず覚え化ければいけないものなので単語とセットで覚えるようにしましょう!
以上、オランダ語の名詞の性でした。
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