オランダ語の文法を、英語とドイツ語の文法と比較しながらまとめてみました。
オランダ語、英語、ドイツ語は同じ西ゲルマン語に属するので多くの共通点があり、英語とドイツ語から文法や単語を類推することで学習効率が良くなります。
オランダ語に比べて英語やドイツ語に触れたことがあるという方は多いと思いますので参考になると思います!
今回はオランダ語の人称代名詞と最も基本的な動詞の一つであるzijn動詞についてまとめてみました。
オランダ語の人称代名詞(主格)
いきなりですが、オランダ語の人称代名詞は次のようになります。
単数 強調形 | 単数 非強調形 | 複数 強調形 | 複数 非強調形 | |
一人称 | ik(私は) | ‘k | wij(私たちは) | we |
二人称 | jij(君は), u(あなたは) | je | jullie , u(あなたたちは) | / |
三人称男性 | hij(彼は) | ie | zij | ze |
三人称女性 | zij(彼女は) | ze | zij | ze |
三人称中性 | het(それは) | ‘t | zij | ze |
2人称は「君」と「あなた」で使い分ける必要があります。
簡単な使い分けの仕方としては「心の距離」を考えるといいかもしれません。目上の人や初めて会った人などにいきなり jij で話しかけるのは推奨されません。公の場はあくまでも u から始めましょう。複数形ではjullieが使われることが多いようです。
強調形と非強調形の違いは、公の場や少しお堅い場面では強調形を使い、会話や一般的な書き言葉などカジュアルな場面では非強調形を使うということらしいです。(オランダ語の世界では)
あるいは「強調」ということもあり人称代名詞を強調するときにも強調形を使います。
しかし個人的な意見ですが、オランダ語学習の最初の段階では気にする必要はないと思います。オランダ語学習の点で言えば、オランダ語の多くの参考書では強調形を使い続けていることがしばしばなので、まずは強調形で学習を進めることになるかもしれません。
オランダ語が上達してより日常的なオランダ語の世界に入ったら強調・非強調を意識してみると良いかもしれません。
ここで英語とドイツ語の人称代名詞と比較してみます。
次のようになります。
英語 | ドイツ語 | オランダ語 | |
わたし | I | ich | ik |
君、あなた | you | du , Sie | jij , u |
彼(男性) | he | er | hij |
彼女(女性) | she | sie | zij |
それ(中性) | it | es | het |
私たち | we | wir | wij |
あなたたち | you | ihr , Sie | jullie , u |
彼ら、彼女ら、それら | they | sie | zij |
文字だけ見比べてもなんとなく似ているところがあります。(I , ich , ik など)
読み方も例えば、you(ユー) , du(ドゥ) , u(ユー) や、they(ゼィ) , sie(ズィ) , zij(ゼィ)と近縁の言語であることを感じさせてくれます。
オランダ語の「be動詞」
さて、オランダ語の人称代名詞(主格)をまとめたところで次にオランダ語のいわゆる「be動詞」に相当するものを見ていきたいと思います。
オランダ語では「zijn動詞」と言います。
人称代名詞との対応は次のようになります。
主語+zijn動詞 | |
一人称単数 | ik ben |
二人称単数 | jij bent , u bent |
三人称単数 | hij , zij , het is |
一人称複数 | wij zijn |
二人称複数 | jullie zijn , u bent |
三人称複数 | zij zijn |
zijn動詞は英語やドイツ語と同じで「~である」という意味の動詞です。
zijn動詞は英語のbe動詞やドイツ語のsein動詞と同じく次のように使います。
主語+zijn動詞+名詞 or 形容詞 or 句
英語のbe動詞に慣れていればほとんどその感覚で使えます。
ちなみにですが、英語の this や that に相当する単語を覚えておくと便利です。
オランダ語では次のようになります。
dit「これ」, dat「あれ・それ」
Dit is/zijn ~.「これは~です。」
Dat is/zijn ~.「あれは・それは~です。」
英語だと単数形の時と複数形の時で this/that なのか these/thoseなのか区別する必要がありましたがオランダ語は対象の距離に応じてditとdatを使い分けるだけです。
「これは本です。」という文を例に挙げるなら、
(単数)Dit is een boek.
(複数)Dit zijn boeken.
しかし、オランダ語はこれだけではありません。
オランダ語では「動詞は2番目」という強力なルールがあります。
このルールに従う限り単語の並び順は比較的自由です。
例えば、Ik ben student. という文では ik が一番目の要素、benが2番目の要素、studentが3番目の要素として捉えらえます。要素というのは単語レベルではなく形容詞句や副詞句など句のレベルでも判断されます。
つまり、Student ben ik. もありです。この場合、前にわざわざ出したstudentを強調する意味があります。意味は同じだけれど伝えたいところが違うというわけです。
また、英語と異なり I am a student. のように人の職業や性質を表すときに冠詞は基本付けません。
Dit/Dat+is/zijn+モノのようなときには冠詞(eenなど)は必要です。
文の順番に関わるルールはドイツ語でも同様です。
疑問文の形は次のようになります。
Zijn動詞+主語+名詞 or 形容詞 or 句
例えば、Bent u japanner ? などとなります。
これも英語とドイツ語と共通しています。
注意しなければならないのは、jij bent ~の文を疑問文にするとき Ben jij~? となることです。
bent → ben となることに注意です。
さて、ここでも英語とドイツ語を比較に出してみたいと思います。
英語 | ドイツ語 | オランダ語 | |
一人称単数 | I am | ich bin | ik ben |
二人称単数 | you are | du bist , Sie sind | jij bent , u bent |
三人称単数 | he , she , it is | er , sie , es ist | hij , zij , het is |
一人称複数 | we are | wir sind | wij zijn |
二人称複数 | you are | ihr seid , Sie sind | jullie zijn |
三人称複数 | they are | sie sind | zij zijn |
ドイツ語とオランダ語は特に形が似ているのがお分かりになると思います。
また、それぞれの言語で単数形は異なる変化をし、複数形は同じ形という傾向も見られます。
英語を学習されてる方に注意なのが、勢い余って hij is を「ヘイ イズ」と読んでしまうことです。
オランダ語では is は「イス」と読みますから・・・
でも形だけではわかりませんね!それだけ似ているということです!
ちょっとオランダ語勉強が楽になる気がします。
このように並べてみるとかつては英語にもちゃんと豊かな人称変化があったのかなと思いを馳せてしまいます・・・(個人的に)
最後に例として「彼は学生です。」という文を並べてみます。
(英)He is a student.
(独)Er ist Student.
(蘭)Hij is student.
ほぼ同じですね!こうみると外国語学習もそんなに難しくなさそうと感じませんか?
以上、オランダ語の人称代名詞とzijn動詞をまとめてみました。
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